新モデル総括:2027 KTM 790 DUKE——“メス”の復活を、世界はどう見たか
6月の発表以来、世界中の媒体が報じた新型790 DUKE。独立系9媒体の論調を分類すると、好評67%・中立22%・厳しめ11%。“メス”の復活が世界でどう受け止められたかを、円グラフ付きで総括する。
この記事の注目ポイント
- 2027 KTM 790 DUKEはシートや外装、足まわり、電子装備を更新し、日常性と鋭い操作感の両立を狙う。
- 独立系9媒体の評価は好意的だが、従来型からの刷新幅を「革命」と見るか「熟成」と見るかで論調が分かれた。
新しい企画を始める。名付けて「新モデル総括」。注目の新型車が発表されたら、その一台について世界中の媒体が書いた記事を集めて、論調を分類して、全体像を一枚のチャートにまとめる特集だ。新型車の記事は発表直後に大量に流れてくるが、断片を追いかけているだけでは「で、世界はこれをどう評価してるの?」が見えにくい。それを、ぱっと見でわかるようにするのがこの枠の役目だ。第1弾は、6月の発表以来ニュースが途切れないKTMの新型「790 DUKE」。僕たちのデータベースに集まった関連記事は17本。うちKTM公式の発信が8本、独立系媒体の報道・試乗評が9本。チャートに使ったのは後者の9媒体で、公式の自己発信は評価には数えていない。
まず事実の整理から。2027年型790 DUKEは、2021年に890 DUKEへ置き換えられて以来となる「790」の復活だ。エンジンは799ccの液冷並列2気筒LC8c。出力は発表段階の公式映像では95PSと伝えられ、その後の各誌報道では標準仕様105bhp・A2免許対応版93bhpという数字が報じられている。フルパワー仕様の国際発表と地域仕様の差とみられるが、いずれにせよミドル級として十分に鋭い数字だ。装備は5インチTFT、調整式WP APEXフォーク、そして注目すべきはグループ傘下WPブランドの自社製ブレーキの採用。サスペンションで知られるWPの領域をブレーキにまで広げた内製化の象徴だ。価格は米国9,799ドルから、日本導入価格は119万8000円。“スカルペル(メス)”の異名を持つ初代の切れ味を、新設計のボディとシャシーで取り戻しにきた。
では、世界はこれをどう受け止めたか。チャートのとおり、独立系9媒体の内訳は好評6・中立2・厳しめ1。約67%が明確にポジティブだ。もっとも熱かったのはフランスのLe Repaire des Motardsで、試乗評で“革命”とまで書いた。スタイルもシャシーもリアフレームもブレーキも全て新設計で、しかも競争力のある価格——という論旨だ。米Rider Magazineは「“メス”がシャシーも電子制御も一新して復活」と歓迎し、Motorcycle.comも「定番の復帰を歓迎する声」を伝えた。New Atlasは「登場から約10年で最大の刷新」と規模を評価している。日本勢もオートバイ誌が「ライダー第一主義で全面刷新」と好意的だ。一方で、厳しめの1票はRideApart。「アップデートの幅は大きくない」と、刷新の物足りなさを指摘した。中立2票は、国内導入の事実を淡々と伝えたモーサイと、ブレーキ内製化を技術ニュースとして扱ったThe BRAKE Reportだ。
地域差にも触れておきたい。今回の9媒体の内訳は欧州5・北米2・日本2。お膝元の欧州が量・熱量ともに最も高く、“革命”評もここから出た。北米は歓迎しつつも「刷新の幅」に注文をつける冷静さがあり、好評と厳しめが同居する。日本は導入発表が発表から数日後と早く、119万8000円という価格も「この装備なら妥当」と受け止められている印象だ。同じ一台でも、市場によって見る角度がこれだけ違う。ミドルネイキッドの主戦場である欧州で先に勝負を決めにいくKTMの順序も含めて、地域ごとの温度は今後も追う価値がある。
僕の見立てを最後に書いておく。この67%という好評率は、率直に言って強い。ミドルネイキッドは競合がひしめく激戦区で、新型が出ても「手堅いが驚きはない」と書かれて終わることが珍しくないクラスだ。そこで“革命”という単語を引き出し、批判が「変わり映えしない」ではなく「刷新の幅」への注文にとどまったのは、KTMの狙いがおおむね刺さった証拠だと思う。ただし、数字の裏の温度差も見てほしい。好評6票の中身は「復活への祝福」が多く、絶対性能で他を圧倒したという評価はまだ少ない。本当の勝負は、試乗車が世界に行き渡って比較テストが出そろう今年の秋以降だ。そのとき論調がどう動くか——この特集は同じモデルを追い続けることもできる。世界の評価は、一枚のチャートで終わらせず、変化まで見届けてこそ面白いんだよ。
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