日本ワインディング紀行COLUMN — 2026.08.05
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日本ワインディング紀行 第3回:十一月三十日という締切と、走れない道

SIGNATURE COLUMN — 日本ワインディング紀行BY YUKUTO ODA2026.08.05
日本ワインディング紀行 第3回:十一月三十日という締切と、走れない道
PHOTOMOTOBOOK編集部↗ 原文を見る

二輪の高速割引には終わりの日がある。ツーリングプランと定率割引を締切から逆算して秋のワインディングを組み立てる話と、白川郷の先で待っている「バイクでは走れない道」について。

この記事の注目ポイント

  • ETC二輪車限定ツーリングプランは2026年4月1日〜11月30日(北海道は10月31日まで)の全22コース。最安は中央道・東海北陸道コースの2日間2,000円、最高は北海道道南・道北コースの3日間6,100円で、走行直前でもスマートフォンから申し込める。
  • 二輪車定率割引は2026年4月4日〜11月29日の土日祝が対象で、1回の走行距離が80kmを超えた走行が37.5%割引になる。経路が決まっているならツーリングプラン、決めずに走るなら定率割引という使い分けができる。
  • 白山白川郷ホワイトロードは二輪車通行禁止で、バイクでは走れない。2026年の通行期間は6月12日〜11月10日予定、入場は7時〜18時、普通車の片道料金は1,700円。
  • 東海北陸自動車道の松ノ木峠パーキングエリア(荘川IC〜飛騨清見IC間)は標高1,085mで、国内の高速道路で最も標高の高い休憩施設。2013年4月19日に開業し、売店はないがトイレは整備されている。

八月に入って、朝の空気にほんの少しだけ秋が混じるようになりました。前回はビーナスラインの話を書いて、標高で夏をやり過ごす組み立て方を紹介したのですが、あれから「言われたとおり高いところへ逃げました」という便りをいくつかいただいて、僕まで涼しい気持ちになりました。ただ、標高に助けてもらう季節はもうそれほど長くありません。ここから先は、暑さから逃げるためではなく、その土地の色を見に行くために地図を広げる季節ですね。僕はこの時期がいちばん好きなんですよ。

そして今年、地図の隣に置いておきたいものがもうひとつあります。締切です。ETC二輪車限定の「ツーリングプラン」は二〇二六年四月一日から十一月三十日まで、北海道エリアだけは十月三十一日で終わります。「二輪車定率割引」のほうも四月四日から十一月二十九日までの土曜・日曜・祝日が対象で、こちらも北海道は十月末まで。夏が過ぎてからが本番だと思っている僕のような人間には、この日付が毎年けっこう切実なんです。北海道を走りたい方は、さらにひと月早い十月末が事実上の期限になりますね。フェリーの予約まで考えると、決断はもっと手前に来ることになります。あと何回、走れる週末が残っているか。カレンダーを数えるところから、今年の秋は始まりました。

この二つは名前が似ているだけで、性格はまるで違います。ツーリングプランは全二十二コースの定額商品で、対象エリアの高速道路が二日間または三日間、乗り降り自由になる。いちばん安い中央道・東海北陸道コースは二日間で二千円、いちばん高い北海道の道南・道北コースは三日間で六千百円です。事前の申し込みは要りますが、走る直前でもスマートフォンから手続きできて、使わなければキャンセル料もかからない。天気を見てから決められるというのは、旅する側にはずいぶんありがたい設計だと思います。いっぽう定率割引は土日祝に限られ、一回の走行が八十キロを超えたときに三十七・五パーセント引きになる。行き先を決めずに気分で走る人は定率割引、経路が決まっていて何度も出入りする人はプラン。僕はそんなふうに使い分けています。

さきほど中央道・東海北陸道コースを例に出したのには、少し理由があります。二千円で乗り降り自由になるこの区間には、高速道路そのものが峠になっている場所があるんです。荘川インターと飛騨清見インターの間にある、松ノ木峠パーキングエリア。標高千八十五メートルで、国内の高速道路でいちばん標高の高いところにある休憩施設です。二〇一三年の四月に開業したときのニュースを、僕は今でも覚えています。売店はありませんが、トイレはきれいに整えられていて、上り線には荘川桜の二世が植えられている。夏でも風が冷たくて、ここで魔法瓶のコーヒーを開けるだけで、もう半分は旅が終わったような気分になれますよ。高速道路の休憩所を目的地にしてしまっていいんです。ここまで来ると、行き先は道の駅でなくてもいい。標高そのものが目的地になるんですね。

ただ、今回いちばん書いておきたかったのはここから先の話です。高速を安く長く使えるようになると、つい遠くの地図まで指でなぞってしまう。白川郷まで来たなら、その先の白山白川郷ホワイトロードへ抜けよう——そう考えた方もいるはずです。でも、あの道はバイクでは走れません。公式サイトに「二輪車通行禁止」とはっきり書かれています。二〇二六年の通行期間は六月十二日から十一月十日までの予定で、入場できるのは七時から十八時まで、普通車の片道料金は千七百円。四輪で行くぶんには標高差のある魅力的な道ですが、僕らの側からは最初から選択肢に入らないんです。地図の上で同じ太さの線に見えても、走れるとは限らない。これは割引とはまったく別の次元の話で、調べておかないと現地で引き返すことになります。

ですから僕は、白川郷から先は国道百五十六号で庄川沿いに戻るか、郡上八幡から高山へ抜けるせせらぎ街道を組み込むことにしています。どちらも二輪で普通に走れて、秋には木の色が日ごとに変わっていく道ですね。割引がしてくれるのは、遠くへ行くための費用を軽くすることだけです。その先に走れる道があるかどうかまでは、誰も教えてくれない。日没も日に日に早くなりますから、行程は少し余らせておいたほうがいいでしょうね。装備も、そろそろ夏のままでは心もとない季節に入ります。標高千メートルの朝と平地の昼とでは、まるで別の季節が待っていますから、脱ぎ着できる一枚を積んでおきたいところです。道の駅でコーヒーを買って、規制情報と地図を一緒に広げる。締切のある年の秋は、その手間がそのまま旅の質になるんだと思います。さて、次はどこを走ろうか。

参照・引用リンク

この記事の執筆時に引用・参照した公開情報です。

  1. NEXCO中日本:ETC二輪車限定の「ツーリングプラン」を2026年4月1日(水)から開始します!
  2. 速旅(NEXCO中日本):【ETC二輪車限定】2026二輪車定率割引
  3. 白山白川郷ホワイトロード 公式サイト
  4. レスポンス:日本で最も高いところにあるパーキングエリアがオープン…標高1085m
小田 邑久斗
ツーリング・エディター
小田 邑久斗
道の駅でコーヒーを飲みながら地図を広げるのが、私の一番好きな瞬間だ。次にどこを走るか考えているとき、頭の中に次の記事のことが浮かぶ。日本中のワインディングを走ってきた経験が全部記事になっている。ツーリング情報なら任せてほしい。
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